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ラファス開発に至るまで。

ラファス開発に至るまで。
2016/5/10
株式会社ワタセ 代表取締役 辻貴史

ラファス(へちま)の開発を初めて早や7年が経過する。

昭和時代
ワタセは明治6年創業以来、もめん綿の製綿業を営んできた小さな会社だ。私は昭和25年に滋賀県安土町にワタセの長男として生まれた。早稲田大学を卒業し、将来をどうしたものかと思っていた折にワタセ3代目社長の父親が安土町の町長に立候補した。その時点で廃業の道もあったが、昭和の古い気質が残っていた私は、26歳で家業を継ぎ4代目社長になり現在に至っている。
平成時代
ワタセは片田舎の小さな会社ながらも製造と販売を業務として来た。だから布団の製造方法も消費者ニーズも共に分かる立ち位置にいる。そこで28年前に京都工芸繊維大学の加藤力教授を訪ね、加藤研究室の学生と一緒に布団の歴史、役割、構造を体系的にまとめ、「ふとん博物館」をワタセ工場内部に作った。

契機は「みのむしふとん」

この中で、「どうして?」と色んな疑問を持つようになった。
布団が作られて400年が経つが、「どうして四角形なのか?」と。
四角い布団の形状に意味があってのことなら理解できるが、何の意味も理由もなく40年間続いていることに疑問を持ち、その中で開発したのが、「みのむしふとん」である。性能試験に及んでは、加藤教授の指導の下に官能テストを実施し、また滋賀県立医科大学の宮崎教授の指導の下に脳波テストも実施した。「みのむしふとん」の発明は、新聞やテレビや雑誌に頻繁に取り上げられ、滋賀県のベンチャービジネスブランコンペで優秀賞を受賞し、またテレビ東京のWBS(ワールド・ビジネス・サテライト)に3度も出演し、「トレたま2,000回記念・特別賞」も受賞した。

思えば、この「みのむしふとん」の開発が、ワタセの業務内容の変化を生む契機になった。それまでは製造だけであったが、新製品の発明・開発を手掛けたのだ。この新製品は、目利きのバイヤー氏の目に留まり、通販生活に掲載され、高島屋デパートの口座も開設でき、また大手寝具問屋の西川でも扱って貰える等と商売の世界が大きく広がった。
「そうか、片田舎の小さな布団屋でも、十分に全国に向けて勝負できるんだ。」と、私の大きな自信になり、会社の業務も、それまでの製造と小売販売の他に、商品開発と卸販売が加わることになった。

ラファスへの道

もともと木綿綿の製造を業務としてきたから、私は天然繊維が好きであり、木綿の他に麻も扱うようになった。近江の麻を広めるべく、近江本麻布団を企画して通販生活「ピカイチ辞典」に10年間掲載して貰った。40年前から普及し始めた羽毛についても扱うようになったのであるが、石油製品については、今一つ、馴染めない感覚を払拭できないでいた。それは吸放湿性がないからである。高温多湿の日本では、如何に湿気を取り、サラサラと気持ちよく寝られるかが寝具素材の必要条件となる。

ふとんは、3つの要素からできている。
それは、(1)中素材と、(2)側生地、それと(3)空気である。だから、いかに沢山の空気を含めるかが、布団の勝負となり、更には、吸放湿性に富んだ素材であることも重要となる。
掛け布団では、羽毛、木綿、麻は、十分な空気層を形成し、同時に吸放湿性も兼ね備えている。しかしながら、これらを枕や敷布団に使用すれば、人間の体重でペチャンコになり、空気が逃げてしまう。
そこで10年前から、素材として、体重が乗っても空気層が損なわれずに、しかも吸放湿性があるクッション材はないものかと思い巡らす日々が続いた。これは、私だけではなく業界の課題だと言っても過言ではない。そんな中、7年前にヘチマを思い付いた。

私にとってヘチマは身近な存在で、滋賀県では昔、ヘチマが各家の軒下に沢山栽培されていた。ヘチマの大きな葉っぱは夏の強い日差しの日除けになり、乾燥へちまはタワシに使用し、ヘチマ水は化粧水に利用されていた。
早速、農家にお願いして「へちま栽培」を始めた。4月に種を植え、5月に定植。秋には収穫して、ヘチマの果実を水に漬けて乾燥ヘチマにした。そこから製品化するに当たり、チップ状にしたり、シート状にしたり、とクッション材製作に向けての挑戦が始まった。

試行錯誤の末に一応、製品化の目途がついたのであるが、3つの難問があった。一つは、資金面の問題、次に性能の問題、最後に需要開拓等の人的資源の問題である。
資金面の問題は、新商品を開発するとなれば、かなりの開発費が必要となる。これは、「みのむしふとん」の開発では3千万円ほどの身銭を切った経験から、それなりの覚悟が必要となる。これに付いては、経済産業省の農商工連携補助金(5年間に渡り研究・試作開発・需要開拓費の3分の2、3千万円を限度に補助金がおりる制度)に申請し、認定されて大いに助かった。
次に性能面の問題である。へちまの耐久性、ヘタリ度、吸放湿性の問題だ。更にはデーターとして、どの程度涼しいのか?と、総合的に寝具のクッショション材に適しているのか?を検証する必要がある。
日本には、ヘチマを研究されている学者が2名おられ、その内のお一人が神戸高専の尾崎純一教授であることが判明し、早速に訪問したところ、快諾して頂けた。4年間に渡り共同研究の結果、ヘチマの優位性を示す検査データーと、寝具のクッション材に適している確証を得られ、特許も2点申請した。
最後の人的資源に付いては、先ずは寝具に長年に渡り関わった経験、次に、「みのむしふとん」の開発・販売途上で広がったネットワーク、そして東京ギフトショーで新たに知り合った人的資源に大いに助けられ、感謝している。

敷マットの道

製品化は、先ずは枕から始めて、敷パッド、枕パッドを作り上げた。(株)京都西川様へのOEM製造をはじめとして、通販媒体等、販売ルートもできた。そこで、最終目標となる敷マットの製作であるが、これには流石に苦労の連続であった。最初は、ヘチマチップを布団の側生地に詰め込んだところ、200本以上のヘチマが必要で、ゴツゴツと硬さが気になる。そこで、もめん綿に入れて敷布団にしたり、ウレタンフォームと組み合わせたりと色々と試す日々が続いた。経済産業省の農商工連携補助金も、今年の3月末で5年が終了する。

そんな中、今年の3月に、20年来の友人である高島屋デパートの元寝具バイヤーの坂本氏から、(株)シーエンジの高岡伸行社長を紹介して貰った。高岡社長の「エアーウィーブ」も、私の「みのむしふとん」も、どちらも坂本バイヤーの目に留まり、育てて貰ったと言う経緯からである。
高岡社長は、あのエアーウィーブのクッション材を発明された方であった。氏はポリエチレンのヘチマ繊維状の高弾性のクッション材を造る機械と製品を発明された技術者で、製法特許も製品特許も取得されている。
周知の様に、エアーウィーブは通気性と体圧分散に優れて、ウレタンフォームの様に劣化せず、洗えるメリットがあり、現在、敷マットの売り上げでは非常に良く売れている。短所は、石油系製品である為に吸放湿性がなく、汗を吸わず蒸れる点だ。
お出会いしたその日に、私の開発したラファスとコラボできないかと申し出たところ、即座に快諾して貰った。希望の形状を設計図に描けば、製造方法から考えてみるとのことであった。
早速に私は、ラファスシートを入れる為の穴を空けた素材の設計図に描いて依頼したところ、希望通りの資材が出来上がった。
天然繊維ラファスと化学繊維シーコアのコラボが実現した。ラファスとシーコアのハイブリッド敷マットである。

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