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きんたま風呂 って? (目尻が下がったり上がったりした話し)

今日は、4月19日(土曜日)に聞いた話しと、その翌日に聞いた話しが、余りにも両極端だったから、書いてみることにした。

さて、いきなりの単語で驚かれたと思うが、「きんたま風呂」って、どんな風呂だとお思いだろう。
これは、きんたま用の小さい風呂とか茶碗ではなくて、普通の風呂のことで、昭和20年以前の日本人なら、きんたま保有の男性も、そうではない女性も、皆さんが知っておられた公用語に近いものだったらしい。

普通は、湯船に浸かった場合、たいていは胸や肩あたりまで湯が張られていて、掛け流し温泉みたいに、いつも湯が溢れているのが贅沢と言う。
しかし、戦前・戦中以前の日本では、水も燃料も貴重だったから、使った時に「へそ」まで湯が有れば贅沢で、たいていは、せいぜい「きんたま」が浸かる程度で、これを称して、きんたま風呂と言ったそうだ。

『どうして?』であるが、それには、こんな理由がある。

19日の土曜日は、目的とする絵屏風(上田洋平先生の心象図法)づくりの情報取得の為、安土町下豊浦永町地区の80歳前後の男女お年寄り十数名様に集まって貰い、60年前の生活様子を語って頂いた。

その中で、聞いた話しの一つが、この「きんたま風呂」である。

風呂であるが、現在の様に、スイッチ一つで涌くものではない。
水道もなければ、ガス・電気・灯油等の燃料もない。

そんな中で、風呂の準備はと言うと、大人は忙しいので、殆どの家では、それを10歳前後の子どもが担当していた。

先ずは燃料である。
安土山に上って、柴(雑木の小枝)集めから始まる。

しかし、勝手に採ってくれば良いと云うのではなく、親が用意して呉れた米1升を総見寺の坊さんにお供えしてからだ。
とは、語り部のお婆さんの言であるが、どうも、その山は、総見寺領だったらしい。
その姿は、ちょうど二宮尊徳の石像よろしく、柴刈(しばかり)で、幼い子は、輿(こし)が担げないので袋を背負った。

これだけでも時間が掛かるが、風呂の準備は、まだまだ掛かる。

水道のない当時は、井戸の釣瓶から、水を汲んだ。
なにぶん、子どもだから、これが大層重い。

ようやく汲んだ水だが、今度は、風呂まで運ばねばならない。結構、遠い。
やっと風呂場に着いたら、今度は、湯舟が自分の身長程に高い。 五右衛門風呂だ。

せっかく運んだ水も、ここで引っ繰り返してしまうことも、しょっちゅう。

それから、採ってきた柴を焚いて風呂を沸かすのである。
これを、来る日も来る日も、繰り返ししないといけないのだから、きんたま風呂も、「なるほど!」と頷けよう。

当時は、どこの家も大家族だったから、このきんたま風呂に、10人ほどが入ったらしい。
石鹸などの洒落たものはなく、たいていは米糠。
だから、最後の方は、白く濁っていたそうな。

ご主人やお舅さん、お姑さんが入る際には、決まって若嫁は、「お加減どうですか?」と聞く。
冷めていれば、また柴を焚くのである。

風呂以外にも、こんな苦労話が、次次と、いっぱい湧いてくる。
しかし、苦労話なのに、みんなが懐かしそうに、また楽しそうに話し、聞いている私たちも、自然と目尻が下がり、幸せな気分に浸った。

そんな土曜日の夜の次の日曜日。
高校時代の同級生の伊東君が、来た。ふとんの打ち直しを注文してくれ、それを受け取りに来てくれたのだ。

その時、伊東君「同級生の中川昭夫って、知ってるか?」
私「ああー、知ってるよ中川君。同じクラスで、よく一緒に帰ってたわ。」
伊東君「あのオリンパス事件の指南役とか黒幕らしく、逮捕されたのも知ってるか?」

「えっえー!!」だった。
あの、オリンパスの6000億円にものぼる損失隠しの指南役だったとは驚きである。
伊東君によると、消えた年金事件で逮捕された投資顧問会社AIJの浅川社長は、中川君の野村時代の部下とのこと。
中川君は、香港のマンションで女と居るところを逮捕されたとか。
見た訳ではないが、そのマンションの風呂場風景が、仮にドラマになるとしたら、真鍮の蛇口、ジャグジー、薔薇風呂なんだろうか。

19日のきんたま風呂では、幸せな感じだったものが、翌日のコレは、なんとも、嫌な話である。

中川君は、彦根の中でも農村部の稲枝町の出身で、彼のお父さんも、きっと「きんたま風呂」に浸かっていた筈なのに、これは、なんとしたことだろう、思わざるを得ない。

『あいつ、悪い夢を見たんだろうな。』とは、その時に浮かんだ印象だ。

60年前の人間の全てとは言わないが、殆どの人は、みんな謙虚に、正直に暮らし、それでも幸せだった。
そんな時代を経て、私たちは豊かになった。
豊かになること自体は、悪い訳ではないが、そこに【悪い夢】を馳せると、人は邪悪になる。

この時代の中、真っ当に生きるのは、かなり難しい。


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